一次仕込みの前段階として、極めて重要な作業が製麹(麹造り)です。熟練した杜氏でも一番細かい神経を使い、わが子のように麹の成長を見守ります。蒸米を適温に冷却した後、種麹菌を全体にむらがないように混ぜ合わせます。混ぜ合わせた蒸米を均等に広げ、2昼夜をかけて温度、通風、湿度管理に神経を注ぎ麹造りを行います。高月ブランド「33度」は黒麹を使用しています。
鹿児島の中でも、南薩摩はさつま芋畑の一大産地です。この地域の畑は土壌が優れているのに加え、丘陵地の傾斜によって得られる長い日照時間によって良質なさつま芋が収穫されます。「高月」で使用しております、さつま芋の品種は焼酎造りに最も適しておりますコガネセンガンを使用しております。契約農家さんとの信頼協力体制により、畑での管理、丁寧な掘り取りと運搬により優れたさつま芋を使用できます。コガネセンガンはデンプン質も多く、焼酎に適している反面、非常にデリケートな品種です。 デリケートな品種の為、掘りたての新鮮なコガネセンガンを土がついたまま工場へいち早く運び、一つ一つ人の手に取り選別されます。また、人の手によりヘタ、傷んだ箇所を切り取り、大きな芋は半分に切り取ります。ヘタや傷んだ箇所は苦みなどの原因になり、酒質に影響をあたえるため、入念に人の目で選別しています。
蔵元の故郷にそびえ立つ「長屋山(チョウヤザン)」の伏流水、天然の地下水を使用しております。この山は神話にも登場する高千穂に降り立った「ニニギノミコト」がたどり着いた場所だとされております。
地下水より湧き出た仕込み水と、焼酎酵母、自社麹室で造られた麹を入れて一次モロミを造ります。一次モロミは酒の母と書いて酒母(しゅぼ)とも呼ばれます。麹菌にはクエン酸を多く含むため安全に発酵が進み、酵母は麹により造られた糖をアルコールと炭酸ガスに分解します。杜氏はモロミの温度が上がりすぎないように昼夜徹底して管理します。
ひとつひとつ丁寧に選別された良質なさつま芋がホクホクに蒸しあがります。適温に冷やして細かく砕いた後、一次仕込みで出来た一次モロミ(酒母)に投入します。次第に発酵が活発になり8日~10日間で二次モロミが出来上がります。二次仕込みの工程中もモロミの温度が上がり過ぎないように杜氏が徹底して管理します。
発酵を終えた二次モロミを単式蒸留器(ポットスチル)に移し替えます。優しい蒸気でモロミを加熱して行き、モロミの中から立ち上った蒸気を冷却するとポタポタと無色透明な液体が垂れ始めます。最初の垂れ始めのアルコール度数は約70度もあり、最終的には原酒として36度~37度に保たれます。
蒸留してできた原酒は、一定期間貯蔵し熟成の時を待ちます。杜氏がきき酒し酒質の安定、均一化をはかった後、天然の地下水で割水を行い「高月33度」が出来上がります。
一本一本、手作業で焼酎を容器に詰め丁寧にラベルを貼り仕上げ作業をします。その後、ラベルの汚れ、容器の傷など最終検査をした後、箱詰めされ出荷します。